特許法(専利法)の概要

1 特許の保護対象

日本とは異なり、中国では、独立の実用新案法及び意匠法が定められておらず、実用新案及び意匠は、ともに特許法で保護を受けることになります。すなわち、中国特許法(専利法)では、発明特許、実用新案(実用新型)特許、意匠(外観設計)特許の3種類が特許として規定されています(但し、日中両国の権利の保護対象には、大きな違いはありません)。

下記に示すように、中国では、実用新案と意匠は実体審査をすることがなく登録になりますが、必ずしも弱い権利ではありません。そのため、ビジネスを有利に進める上では、適切な対象を選択して、権利を取得することが重要となります。当事務所では、中国駐在経験があり、日中の知的財産業務を専門的に取り扱っている弁護士・弁護士が、対象技術の内容に応じて、費用対効果などを考慮した上で、最適な出願方法をご提案いたします。

 

2 各特許の主な特徴

  発明 実用新案(実用新型) 意匠(外観設計)
保護対象 製品、方法、またはその改良について出された新しい技術 製品の形状、構造またはそれらの組合せについて出された実用に適した新しい技術 製品の形状、模様またはそれらの組合せ、及び色彩と形状、模様の組合せについて出された、美感に富み、工業的応用に適した新しいデザイン
主な特許要件 新規性、創造性、実用性 新規性、創造性、実用性 新規性、創作非容易性
審査の有無 あり なし なし
存続期間 出願日から20年 出願日から10年 出願日から10年
権利行使の要件 なし 権利行使の際、専利権評価報告の提出が必要 権利行使の際、専利権評価報告の提出が必要

 

3 特許権の効力

 特許権者は、自己の特許権を侵害する者(権利範囲に記載されている発明等を実施している者)に対して、下記の方法で責任追及することができます。なお、中国では、特許権侵害に対する刑事上の責任追及が認められていない点で、日本とは異なります。

(1)民事上の責任追及

 第三者に対して、侵害行為の差止(登録商標又は登録商標に類似する商標の使用の差止)、損害賠償請求を求めることができます。

 中国の場合における損害賠償請求の判断は、以下の順序により行われます。

優先順位 考え方 算出方法
権利者の損害額 ・特許製品の販売減少数×特許製品の合理的利潤
   又は
・権利侵害製品の市場販売総数×特許製品の合理的利潤
侵害者の利益 権利侵害製品の市場販売総数×権利侵害製品の合理的利潤
実施料相当額 実施許諾料の1倍~3倍
法定賠償 1万元~100万元(特許権の種類、侵害行為の性質や情状等に基づく)

 

(2)行政機関を通じた責任追及

 中国特有の制度であり、地方工商行政管理局に(以下、「地方工商局」という。)対して、侵害行為の差止め、侵害行為を構成する製品等の没収、行政罰としての罰金を課すことを請求することができます。

 裁判所による救済に比べ一般に処理が迅速であること、手続が簡単で、費用が安価であること等の利点があります。しかし、損害賠償を請求することができないこと、罰金は国に対し、支払われるものであり、商標権者に支払われることはないこと、意匠権侵害以外の複雑な事案は処理をしてもらえない場合が多いこと、侵害行為が複数の行政区域にまたがって行われている場合には、各行政区域の地方工商局にあらためて請求を行わなければならない等のデメリットがあります。

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